「何度も通わないといけないのですか?」というご質問を、患者さまからよくいただきます。今回はその理由について、体の仕組みからご説明します。
痛みの正体は、いわば「かさぶたのような癒着」だと考えています。日常生活の中で筋肉には微細な損傷が繰り返し起こり、その修復過程で組織同士が癒着してしまうことがあります。
この癒着があると、筋膜の滑りが悪くなり、筋肉内の圧力が高まり、筋肉が過剰に収縮しやすくなります。その結果、神経が圧迫され、痛みが持続してしまいます。
マッサージやリハビリを受けた直後に楽になるのは、血流が一時的に改善されたことによる表面的な変化にすぎません。癒着そのものは残ったままなので、日常生活での体の使い方によって再び同じ場所に負担が集中し、損傷と癒着が繰り返される悪循環に陥ってしまいます。
鍼灸の強みは、こうした深部の癒着に直接アプローチし、筋肉内の圧力を下げられる点にあります。ただし、癒着が広い範囲に及んでいる慢性的な症状では、一度の施術だけで完全に整えることは難しく、複数回の施術が必要になることがあります。
通院の意味は、「回数をこなすこと」ではなく、「癒着を少しずつ整え、体の動きを再構築していくこと」にあります。症状の程度にもよりますが、軽度であれば1回で変化を感じられることもあれば、慢性化した症状では3〜4ヶ月ほどかけて大きな変化が見られることもあります。
「何をしても変わらない」と感じている状態にも、実は構造的な理由があります。適切なアプローチによって、その状況を変えていくことは十分に可能です。