今回から数回にわたり、肩の痛みについてご紹介していきます。まずは、肩が正常に動くための仕組み、バイオメカニクスについてです。

腕を横に上げるという一見シンプルに見える動作も、実は複数の関節や骨格構造が協調することで初めて成り立っています。上腕骨と肩甲骨をつなぐ関節だけでなく、肩甲骨自体がさまざまな方向へ回旋する動き、鎖骨の動き、そして胸鎖関節や肩鎖関節までもが互いに作用し合うことで、スムーズな挙上動作が実現されます。

肩の安定性を支えているのが、4つの筋肉からなる腱板です。腱板が生み出す「安定させる力」と、三角筋が生み出す「動かす力」が組み合わさることで、効率の良い動きが可能になります。また、腕を高く上げるためには、上腕骨が適切に外側へねじれる(外旋する)ことで、肩峰の下を通るスペースを確保する必要があります。

意外と見落とされがちなのが、胸椎や胸郭の状態です。肩甲骨は胸郭の上を滑るように動くため、背中の動きが悪くなると、肩甲骨の動きにも影響が及んでしまいます。

このように、肩の問題は肩そのものだけを評価していても十分ではありません。当院では、体全体の動きを総合的に評価したうえで、施術をご提案しています。